2023/04/25
前回・前々回と割合のことを話していました。
小・中学生が出来ない計算ナンバー1、あるいは2。
それと肩を並べてナンバー1か2なのが今回の話題「単位当たりの量」
正直、馴染みのないフレーズだろうな、と思います。
ここでいう「単位」とは、1 m2とか1 秒とかのように、何らかの単位を決めたうえで、その単位で測って1、という意味で使っています。
つまり「単位当たりの量」というのは「1 m2当たりの量」とか「1 秒当たりの量」というのをまとめて言うための表現、といったところでしょうか。
また、物理学を勉強していると「単位時間に~」という表現によく出会います。
これは時間の単位を明確にしないで、その場で使っている単位(秒でも分でも)での1の時間で、という意味です。
そして数学では「ある数と計算してもそれが元の数のまま変わらない、そんな数」を「単位元」と呼んでいます。
計算の種類は場合によりますが、かけ算であれば、例えば5にかけても5のままであるような数、つまり5×□=5という数は、というと1ですよね。
いずれにせよ「単位」という言葉に1という気持ちが含まれているのですね。
普通、km2とか秒とかの方を単位というのですから、そっちじゃなくて1の方を単位と呼んでしまうという点には、少し注意が必要です。 ※足し算だと 5+□=5 という数は0で、0は加法の単位元、という言い方はします。このときは単位は0ってなっちゃいますが、それはまた別の話。
そんなわけで「単位当たりの量」。
一体どんな風に計算したらいいのか。
小学校で最初に出会うのは「1 km2当たりの人数」、いわゆる人口密度です。
ある町の面積が400 km2だとしましょう。
その町に6000 人が住んでいる。
この町では1 km2当たり何人住んでいるのでしょうか?
常識的には、町の住人というのは中心付近の住宅街では多く、郊外の農業地域では少ないだろうと思われます。
だからどこか適当に1 km2を切り取ってきて、そこの人数を数えればいい、というものでもなさそう。
なので「単位当たりの量」を考えるときにはいつでも暗黙のうちに仮定しているのですが、全住民が均等に散らばっているものとしてしまいます。
あるいは、どこの1 km2を切り取ってきても、同じ人数になるように調整したとして、と言っても同じです。
この前提さえあれば、計算の仕方が見えてきます。
たて20 km、よこ20 km の正方形で 400 km2 の町を想像しましょう。
もちろん現実的ではないですが、気にしない。
たてもよこも 1 km おきに線を引けば、1 km2 の正方形400個に切り分けられます。
その各正方形に同じ人数になるように住人が散らばっている。
計算しやすくするためにそういう設定をしました。
となると、1 km2 に住んでいる人数を□として □×400=6000 となるはずです。
□を求めるためには、6000÷400=15。
つまり、1 km2 当たりの人数を求めるためには、町全体の人数をその町の面積で割ればいい、ということになりそう。
実際、それでいいです。
一般的に、単位当たりの量を求めるときは、「当たり」の付いている方で割る。
とりあえずこう覚えておくのが便利でしょう。
さて、この単位当たりの量で一番重要な応用が、みんな嫌いな「速さ」です。
速さは、算数的には「1時間(または1秒、1分)当たりに進む距離」のことで、単位当たりの量の一例なのです。
自動車を運転していて、時速60 km で走っているなら、そのまま1時間経てば60 km 進むことになる、ということです。
例題 100 m を 20 秒で走った時の速さを求めましょう。
普段使う速さの単位は、時速何km か、秒速何m か、どちらかのことが多いです。
※別に分速何mm、日速何cm、とかを使っても構いませんし、場合によっては使うこともあります。
この例題ではとりあえず秒速何mなのかを出しますね。
20 秒走って100m 進んだのですが、走り始める前は止まっていたでしょうね。
走り始めてからだんだん速くなるものだと想像できますが、その辺は先ほどの人口密度と同様、初めから一定の速さで最後までペースを崩さず走り切ったものとします。
そうしないと面倒な計算になりますから。
※高校の物理では、このようなだんだん速くなる運動とういうものも計算します。
1秒で何m進んだのか?
100÷20=5 m だ、とお分かりいただければそれでO.K.
1秒当たり、を求めたいのだから、秒で割ればいい。
あまりピンと来ない方もいるでしょうから、少し補足すると、1秒で□ m ずつ走ったとして20秒たったなら、□×20 m 進む、という計算ができます。
なんでかけ算?という方もいますよね。
根本的なところで、1秒で□ m 、2秒たったら □+□ m 、 3秒だと □+□+□ m、と足して行けばいい、とは納得できるのでは。
□を具体的な数字、例えば3とかにして想像してみて欲しいと思います。
こんな風に同じ数のいくつか足すとき、足し合わせる個数分のかけ算で表すのです。
そういうわけで、□×20=100。ここから□を求めるには、割り算です。
結果、例題の答えは 秒速5 m。
これを時速にしてみましょうか。
1秒で5m進むんだけど、それって1時間では何km進むことになるの?と聞かれているのです。
1分は60秒、1時間は60分。組み合わせて1時間は60×60=3600秒です。
1秒当たり5m進むことを、3600秒続けます。
途中で疲れて休んだり、ペースが崩れたりするでしょうけど、そういうことはない、とします。
そうでないと計算できませんから。
5×3600=18000。気を付けたいのは、これの単位がまだ m だ、という点です。1000 mで1 kmですから、18000 m は18 km。
これでついに単位を変えることに成功し、結論は時速18 ㎞ です。
考えることがすごく多くて、小学生にはなかなか大変です。
でも、上に書いた通り、一歩ずつ着実に進めばできないことはないはず・・・
これだけのことを考えるのが大変だ、というのはその通り。
しかしながら、何度も同じような問題について同じように考えるようにすると、考えること自体に慣れて、速く解けるようにもなります。
まあ、反復学習といういうことですが。
繰り返してるんだけど全然わからないままだなぁ、という場合、上に書いたようなレベルまで掘り下げて理解しきれていないまま、どこかに謎の計算が残っているのかもしれません。
その謎の計算にきちんと向き合って、一体何をしているのか理解しようとする。
例えば、上で 1分は60秒、1時間は60分だから、1時間は3600秒、とさらっと流していますが、なぜ掛けたのか?60×60をしたのですが、それでいいのか?
・・・1分経つたびに60秒経つ・・・2分なら60+60=120秒・・・これは60×2って式にできて・・・だから60×60でいいはず! こんな風に考えるひとときが算数・数学の勉強には必要です。
さて、新年度が始まってまもなく一か月経過です。
今年度もよろしくお願いします!
小・中学生が出来ない計算ナンバー1、あるいは2。
それと肩を並べてナンバー1か2なのが今回の話題「単位当たりの量」
正直、馴染みのないフレーズだろうな、と思います。
ここでいう「単位」とは、1 m2とか1 秒とかのように、何らかの単位を決めたうえで、その単位で測って1、という意味で使っています。
つまり「単位当たりの量」というのは「1 m2当たりの量」とか「1 秒当たりの量」というのをまとめて言うための表現、といったところでしょうか。
また、物理学を勉強していると「単位時間に~」という表現によく出会います。
これは時間の単位を明確にしないで、その場で使っている単位(秒でも分でも)での1の時間で、という意味です。
そして数学では「ある数と計算してもそれが元の数のまま変わらない、そんな数」を「単位元」と呼んでいます。
計算の種類は場合によりますが、かけ算であれば、例えば5にかけても5のままであるような数、つまり5×□=5という数は、というと1ですよね。
いずれにせよ「単位」という言葉に1という気持ちが含まれているのですね。
普通、km2とか秒とかの方を単位というのですから、そっちじゃなくて1の方を単位と呼んでしまうという点には、少し注意が必要です。 ※足し算だと 5+□=5 という数は0で、0は加法の単位元、という言い方はします。このときは単位は0ってなっちゃいますが、それはまた別の話。
そんなわけで「単位当たりの量」。
一体どんな風に計算したらいいのか。
小学校で最初に出会うのは「1 km2当たりの人数」、いわゆる人口密度です。
ある町の面積が400 km2だとしましょう。
その町に6000 人が住んでいる。
この町では1 km2当たり何人住んでいるのでしょうか?
常識的には、町の住人というのは中心付近の住宅街では多く、郊外の農業地域では少ないだろうと思われます。
だからどこか適当に1 km2を切り取ってきて、そこの人数を数えればいい、というものでもなさそう。
なので「単位当たりの量」を考えるときにはいつでも暗黙のうちに仮定しているのですが、全住民が均等に散らばっているものとしてしまいます。
あるいは、どこの1 km2を切り取ってきても、同じ人数になるように調整したとして、と言っても同じです。
この前提さえあれば、計算の仕方が見えてきます。
たて20 km、よこ20 km の正方形で 400 km2 の町を想像しましょう。
もちろん現実的ではないですが、気にしない。
たてもよこも 1 km おきに線を引けば、1 km2 の正方形400個に切り分けられます。
その各正方形に同じ人数になるように住人が散らばっている。
計算しやすくするためにそういう設定をしました。
となると、1 km2 に住んでいる人数を□として □×400=6000 となるはずです。
□を求めるためには、6000÷400=15。
つまり、1 km2 当たりの人数を求めるためには、町全体の人数をその町の面積で割ればいい、ということになりそう。
実際、それでいいです。
一般的に、単位当たりの量を求めるときは、「当たり」の付いている方で割る。
とりあえずこう覚えておくのが便利でしょう。
さて、この単位当たりの量で一番重要な応用が、みんな嫌いな「速さ」です。
速さは、算数的には「1時間(または1秒、1分)当たりに進む距離」のことで、単位当たりの量の一例なのです。
自動車を運転していて、時速60 km で走っているなら、そのまま1時間経てば60 km 進むことになる、ということです。
例題 100 m を 20 秒で走った時の速さを求めましょう。
普段使う速さの単位は、時速何km か、秒速何m か、どちらかのことが多いです。
※別に分速何mm、日速何cm、とかを使っても構いませんし、場合によっては使うこともあります。
この例題ではとりあえず秒速何mなのかを出しますね。
20 秒走って100m 進んだのですが、走り始める前は止まっていたでしょうね。
走り始めてからだんだん速くなるものだと想像できますが、その辺は先ほどの人口密度と同様、初めから一定の速さで最後までペースを崩さず走り切ったものとします。
そうしないと面倒な計算になりますから。
※高校の物理では、このようなだんだん速くなる運動とういうものも計算します。
1秒で何m進んだのか?
100÷20=5 m だ、とお分かりいただければそれでO.K.
1秒当たり、を求めたいのだから、秒で割ればいい。
あまりピンと来ない方もいるでしょうから、少し補足すると、1秒で□ m ずつ走ったとして20秒たったなら、□×20 m 進む、という計算ができます。
なんでかけ算?という方もいますよね。
根本的なところで、1秒で□ m 、2秒たったら □+□ m 、 3秒だと □+□+□ m、と足して行けばいい、とは納得できるのでは。
□を具体的な数字、例えば3とかにして想像してみて欲しいと思います。
こんな風に同じ数のいくつか足すとき、足し合わせる個数分のかけ算で表すのです。
そういうわけで、□×20=100。ここから□を求めるには、割り算です。
結果、例題の答えは 秒速5 m。
これを時速にしてみましょうか。
1秒で5m進むんだけど、それって1時間では何km進むことになるの?と聞かれているのです。
1分は60秒、1時間は60分。組み合わせて1時間は60×60=3600秒です。
1秒当たり5m進むことを、3600秒続けます。
途中で疲れて休んだり、ペースが崩れたりするでしょうけど、そういうことはない、とします。
そうでないと計算できませんから。
5×3600=18000。気を付けたいのは、これの単位がまだ m だ、という点です。1000 mで1 kmですから、18000 m は18 km。
これでついに単位を変えることに成功し、結論は時速18 ㎞ です。
考えることがすごく多くて、小学生にはなかなか大変です。
でも、上に書いた通り、一歩ずつ着実に進めばできないことはないはず・・・
これだけのことを考えるのが大変だ、というのはその通り。
しかしながら、何度も同じような問題について同じように考えるようにすると、考えること自体に慣れて、速く解けるようにもなります。
まあ、反復学習といういうことですが。
繰り返してるんだけど全然わからないままだなぁ、という場合、上に書いたようなレベルまで掘り下げて理解しきれていないまま、どこかに謎の計算が残っているのかもしれません。
その謎の計算にきちんと向き合って、一体何をしているのか理解しようとする。
例えば、上で 1分は60秒、1時間は60分だから、1時間は3600秒、とさらっと流していますが、なぜ掛けたのか?60×60をしたのですが、それでいいのか?
・・・1分経つたびに60秒経つ・・・2分なら60+60=120秒・・・これは60×2って式にできて・・・だから60×60でいいはず! こんな風に考えるひとときが算数・数学の勉強には必要です。
さて、新年度が始まってまもなく一か月経過です。
今年度もよろしくお願いします!